#poem

イルミネーショントンネル

いつの頃からだっただろう
夢で見る自分が歳を取らなくなった
「あっちでは自分がピークだった時の姿なんだ」
そんなことを書いた物語があったっけ

いつしか街は僕を削るヤスリのようで
「脆い方が悪い」なんて簡単に言いやがる
もう叫ぶための口もねぇよ

つんざく朝の木漏れ日
進む車両の明かりと重い荷物
何だか遠くで乱雑なリズムが聞こえるな
ビルの高低
歩幅と歩調
五本指を振るだけの慣れた別れ
もっと悲しみたいし喜びたい
水滴は僕を包んで汚水に混じる
何も聞きたくなんかない時に
ばかばかしい他人の声と
君の声

多くの興味もいつの間にか失って
希望も時々思い出せないことがある
単に断続的な思い出が
何かを伝え残そうとしているだけで
それももうすぐ無視できるノイズになるだろう

夢の頃の僕が口を開けて閉じていた
まだ生きていて何かを言っていた
その夢も朝には消えてなくなっていて
いずれ見なくなるのだろうか