雪を知った君へ
この世界には
僕より小さな手が二つあった
彼女が眠たくなるとき
それは握られて温かくなる
そんな単純な秘密も知らなかった
僕も誰にも渡さないだろう
彼女が一歩あるくごとに
僕も一歩あるいていると分かる
彼女の頭をなでるごとに
僕も一つもどかしさを取り払う
こうしてきたのだ
という
確信が
僕をいたぶった
ああ
みんなこうしてきたのだ
十分えらくなったと誤ってから
温かな無知を突きつけられて
それを身よりも大切にする
みんなこうしてきたのだ
だから新しく知ることを
思い出したかのように
なつかしく感じるのだ