#poem

飛沫

薄氷に映った星空に触れたら
溶けて何もかもが消えてしまった
僕はそれを大事にかかえて外に出し
しばらく快く眺めていたけれど
やがて季節は変わってしまう

僕は十分に逃げてきたから
気づいた時にはもう後がなくてさ
自分が嫌いでどうしようもない時も
何も出来なくて隅の方で喚いていた

救いたいことだっていくつもあった
君が流した涙を救いたかったし
あの時の約束を果たしたかった
なのに大切に触れていようとすると
いつも痛みを残して姿を変えていく

嫌いな人間には然るべき不幸を
好きな人間には然るべき幸福を
そして出来れば自分には
ちょっぴり上の幸せを

交差点はそんな声で溢れてて
本当はもう何もかもが手遅れで
自分を始めとする全てのものが
もう救いようなく悪くなりきっている
時々そう感じてしまいそうになるよ

「気が狂いそうな毎日を積み重ね」
「何が正しいか分からなくなる前に」
「ちっぽけな自分を自覚し尽くして」
「逃げようとして何が悪い?」

そう考えたくたって
心が潰れそうなほど
触れたいものに触れていたかった
そんなんだからきっと
今でさえ
目がさめないままなのだろう

薄氷に映った星空に触れたら
溶けて何もかもが消えてしまった
僕はそれを大事にかかえて外に出し
しばらく快く眺めていたけれど
やがて季節は変わってしまう

それをすくって種にまこう
君の涙も混ざってんだろ
星色の花が咲くことを祈って
いつか一緒にそれを見よう

もっと僕を信じろよ
また僕を信じるよ