#poem

残照

手が届かない感慨深さを
くだらないと言い回して
拗ねたりしています
だから
触れ合える全てのものが
くだらないというわけではない
ということくらい分かるので
余計に拗ねたくなるのです

せわしなくなった近頃は
誰かがいなくなっていくことを
しきりに感じるようになりました
もう一生会わないんだろうな
という
白けた挨拶も
上手くなってしまいました

何気なく嬉しいことや
思いもかけず悲しいことが
なかなか胸にすとんと
落ちてこなくなりました

そばにいた人々と
いつからか始めた
影踏みに
今は誰が残っていたか
考えています
くるくると

本意も不本意も
灰色のままで
よくなりました
人々
それぞれ
もうそんなもの

これから咲く花を思って
来年思い出す花の色を想像しています