#poem

雪暦

吐息越しの風景が白すぎて
遠くの家の光で溶けそうにしている
あの時の足跡も埋まって
いい気味だとも思ったけれど
もうその場所から遠くに来てしまった

むかし家の近くに野良猫が住み着いて
でもそいつは車にひかれて死んでしまった
僕はその日をやり直すために
将来タイムマシンを作ろうって
大真面目に自分と約束したんだけど
それがどこに埋まっているか
もう見つからない

ごめんなさいって諦めて
尊敬していたものを思い出そうとした
この風景の全部が溶けて
何もかもがあらわになったら
僕はどこまで来れたのだろう

吐息越しの風景が白すぎて
僕の家の光で溶けそうにしている
僕から見える吐息越しの風景