斯くして、2024年9月21日
進む。
子どものころからやってることは変わらない。休日のたびに歩きや自転車だったりでどこかに行ってしまう。そのころは友人たちとそれが大切だった。ただただ進んで、見たことがない景色を見て、ジュースを飲んで、この辺かなと思うところで引き換えして返ってくる。それが大切だった。
遠くへ行きたいというわけでもないし、どこかに達したいというわけでもない。ただその先には「未知」があって、遠くに行けば行くほど、その「未知」が色濃くなっていく。進めば進むほど粘着質な恐怖が手足に絡む。それに抗って、抗って、きっとどこかで負けて帰る。それが清々しかった。
次はもっと遠くへ、もっと楽しく、もっと強かに、もっと進みたいと思う。そしていつしか大人になって、なかなか付き合ってくれるような人はいなくなってきた。いや、そうではないか。みんな、きっと、それぞれの人生の「未知」といまも戦っているんだ。
大人になって、たくさんの「未知」に進まなきゃならなくなったけれど、まだ僕の本質はここだ。何も考えずに進むことをまだやっている。体力はたぶん落ちたけど、あの頃負けていた「未知」の先へ、僕へ行けるようになった。あの先はなんてことない、まだまだ「未知」が続いているだけだった。分かってはいたけれど。ずっと道は続いて、キツい坂があって、細い道は怖くて、風が耳の中でうずまく。
まだ残暑が厳しくて、川にはまだ夏が流れていた。僕は僕の「未知」を抜けて、この夏をいくつ見られるだろう。ただただ進んでいたい。ただただ純粋になっていくために。