#poem

咀嚼

ああ 夜景が終わる
剥げたアスファルトにくるまりながら
月が泳ぐ砂漠だったころを思い出そうとした
こんなはずじゃなかったと
誰かの吐息があった気がした

たどりつけない たどりつけない
どこまでも 本心では 誰かの幸せを願いながら
建前では誰かを壊そうとしている
ああ 夢は 夜は 人は 鳥は
どちらが僕を咀嚼しくれるだろう

エレクトロニクス 劣等種 丸窓 薄雲の影
どこまでも 見通して 指を折って投げて
その場所がどこか 見通して 僕がいた場所に
僕だけが残る 残る 残る

君を表す言葉なんて ほんとはないこと
分かっていたよ 僕が形容したときにだけ
そこにあるまやかし やさしい
まやかし たどりつけない

僕を言って 誰かの擦過音でいい
夢のなかで 僕を言って
夕焼けに流して 僕を言って
まやかしの 僕を 言って
たどりつく 僕を 表して