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Remember The Milkに脈がない

Twitterから青い鳥がいなくなった昨今、皆様いかがお過ごしか。今からパパっと白い牛の話をする。唐突に不安に駆られたためだ。白い牛――、そう、皆様ご存じ、大好きRemember The Milk。RTMのことである。

本当にご存じだろうか。いま思えばそれも不安である。僕はここ10年、自分が属した組織、グループにRTMを 勧めなかったことはない 。全社員の前で登壇したときもおすすめサービスとして話して、全社員の口が半開きだったのを思い出す。好きが講じてかつて企業のオウンドメディアに自分勝手にこんな記事も書いた者でもある。

下がっては来ているものの、SEO上、"remember the milk"でググれば、まだ1ページ目に表示されるRTMの記事ではないだろうか。そろそろRTMじきじきにアンバサダーとして表彰されてもいいころだと思うし、金銭のやり取りがあってもよかろうかとも思う。んなことはないか。

とにかくRTMが大好き、課金年数は今振り返ったら10年となっていた。まだまだ現役、つい先日Milkscriptを利用した新しいタスクの優先順位決定方法を編み出し、実装したところだ、えっへん! とうところなのだが。

ふと思ったのだ、何でこんなハック的な使い方をしなければならないのか? そう、確かに、ご名答、RTMの最大の良さは極限まで研ぎ澄まされたシンプルさゆえの汎用性にある。だから僕の思いつきをRTMは幅広く実践できる。それは機能に縛られない、よくできたコマンドを工夫する楽しさがある。シンプルゆえに最強、聞仲の禁鞭に似ている。分かるものだけ続け。

まぁとにかく、自分的にもサービス的にもRTMは現役だということをまず伝えたかった。だが、なんでこんな苦労して使っているのだろうか。僕だって仕事柄様々なタスク管理、プロジェクト管理を使ってきた。Brabio、Trello、Jira、Backlog、Wrike、Asana、Notion、etc、etc。いくつもいくつも、運用はうたかたの泡のごとし。

だから分かる。だから比較できる。それらのツールとRTMの決定的な違い、それはリリース速度である。だからハック的な使い方になる。ずっとなる。嗚呼、リリース! RTMに目立ったリリースがない、その事実から目を背けていかほどになっただろう。

サービスの拍動とはなんだろうか。落ちないインフラであろうか、親しみのあるサポートであろうか、さかんな公式SNSコミュケーションであろうか、目立ちたがりのCEOによるパフォーマンスであろうか。そのいずれもYesであり、そのいずれもNoである。

リリース。リリースなのだ。そのサービスが生きていることを高らかに表明するのは、何よりもリリースである。ユーザーにどれだけ価値を届けられているかである。間違いねぇ。毎日リリースしろとは言わない。言えない。僕もサービスを提供させてもらっている側の人間だ、そんなことは全然言えない。

ただ、高頻度なリリースは組織の強さを、定期的なリリースはサービスの安定性を、そして提供側の意思を如実に伝える。まだファイティングポーズを取ってくれているということを分からせてくれる。その肉体に、どくどくと血が流れているのが見て取れる。それがサービスの脈だ。リリースはサービスの拍動なのだ。

基本的にリリースの深奥には善良さが存在する。作ってるから分かる。サービスを悪くしたいやつなんていない。提供側だってそうさ。イーロン・マスクのことは知らんけど、すべてのリリースには善良なる打算が含まれているといっていいと思う。みんなそのサービスをさらに良くしたいから、故障する恐怖と戦いながらリリースをする。イーロン・マスクのことは知らん。

再度言う。RTMにリリースがないんだ。

この前、大きなリリースがあった。この前っていつだと思う? 去年だよ。去年の9月だ。そろそろ一年が経つ。なんとRTMの中にタスク操作用のコードエディタが実装されたのだ。すごい。このエディタでjsが実行でき、タスクを様々に操作ができるようになった!

それが去年のことだ。そこから音沙汰がない。いや、時折、CSSやjsなどが更新されたのだろう、「リロードしてくれ」というメッセージが表示されることがある。あれは何なんだろう。脈はあるのだろうか。そもそもMilkscriptのリリース自体がえらく久しぶりでマジで驚いた。その前のリリースはそこからさらに二年前、2020年のことであり、Apple siliconに対応した、あるいはZapierに対応した、というものだ。

フォーラムも見てみた。こちらはさすがに動いていた。最新の投稿は11日前のものだった。緩やかである。極めて緩やかな時が、この界隈では流れている。

さらに怖くなってTwitter、いやもとい、Xだかなんだかでも検索してみた。しかしない、出てくるのはマジで牛乳を覚えてろ、みたいな、「あ、それマジで慣用句で使うことあるんだ」的なものが多すぎる。RTMで投稿しているのかもしれないが3文字の検索だともう何がなんだか分からん。とにかくこちらも情報の流通が薄すぎるというのは間違いない。

そもそもRTMは完成してしまったのか? ということは感じなくもない。もうここから先は安定稼働が至上命題と言えなくもない操作性を感じなくはない。なくはないが、ない。ないない。そうじゃないだろ。

RTMはヘビーユーザーだからこそ分かる、まだ発展途上、お前はもっとできるはずだ。例えばサブタスク、子タスクが状況によって表示されないのが仕様ってのはどういうことなんだ、マジ危なっかしい。そういうところはまだ発展途上。現時点で確かに優れたアプリケーションだが、まだいくつも改善点は考えつく。頼む。

昔、RTMを使っているのは正訓だけ、と揶揄されたことがある。そんなことはないだろうけれど、そうかもしれない。RTMは僕にとってのインフラなのだ。なくなったら人生の過ごし方が変わる。大げさか。大げさだけど大げさじゃない。

当然Asanaとかである程度代替することはできるだろう。でもAsanaも使った上で述べるのだけれど、使い心地が全く違う。運用を工夫させてくれるのがRTM、機能に運用を合わせるのがその他の管理ツールのイメージがある。まぁDXとはそもそも後者だ的な考え方はあるんだけれど。すごく開けた身軽な状態から、ルールに縛られるのはつらい。

そういうわけでRTM、頼む。牛はまだ歩んでいると僕らを安心させてくれ。何でもいいんだ、何でもいい。生きてさえいてくれたら、そこに意思があることが分かればそれでいい。頼むぞ、RTM。僕にお前の脈動を聞かせてくれ。


2023/07/27 追記

生きてた。